コトバ

Sidewalk like talking about......

『I LOVE YOU』読了。祥伝社によるオムニバス短編小説群。本多孝好、市川拓司、伊坂幸太郎、石田衣良など。今だけは哀しい歌聴きたくないよ。はっきり言うと、本多孝好の文章の様式美が際立っていて、その他短編恋愛小説が立て続く状況には食傷してしまった…

二十億光年の孤独。

『トニー滝谷』-市川準監督。渋谷ユーロスペースにて。村上春樹原作。原作読んだことあるのだけど、珍しく三人称なんだな、確か明るい話ではなかったよな、てことを除いては、殆ど全く話のスジを忘れてたので、行きの電車で読み返して予習していったのだけど…

 トレイン・ロック・フィスティバル〜アイ無き世界の中心でAの警笛を鳴らす電車。

『電車男』-新潮社、読了。http://www.geocities.co.jp/Milkyway-Aquarius/7075/trainman.htmlhttp://www.asahi.com/tech/apc/040709.html今更ながら。ですが、いつかはネットで読もうと思いつつもなかなか読まずにいたのだけど、持ってるというひとがいたの…

5分後においでよ。

『真夜中の5分前 Side-A/Side-B』-本多孝好。やぁ、やっぱりこのひとは「短編連作」向きの作家なのだなぁと長編読むとつくづく思う。要するに細かなエピソードを疲れた肩にぶら下げて眩しそうに描くのが巧いんだこのひと。それが、1挿話で終わりその伏線をほ…

夢想家のような未来は今。

や、昨日の文章は、別段ピロウズの新譜を語るためにどうこう考えて書いた文章ではなく、勝手に出てきた文章がなんとなくアルバムのイメージに連環しそうだったからそうしてみただけなのだけども。最初のきっかけは「君の夢を見たんだ」というコンタクトのア…

I HAVE A BAD DREAM ! BECAUSE YOU HAVE A GOOD DREAM!

「君の夢をみたんだ。」と僕は言った。彼女は、そぅ、とでもいう風に軽く頷くと、ずれ落ちかけていた眼鏡の位置をそっと上げた。「それはつまり」と彼女は言った。「夢の中に私を見た、ということ?それとも、私の夢の中に入り込んだ、ていうこと?」「どっ…

白い雲のように舞いし/黒い翼(字あまり)。

『けばけば』-村上隆/北川悠仁。CDジャケットでコラボレートしてるゆずの顔の良い方と村上隆がつくった絵本。昔個人的に書いた文章で、好きな色は?と訊かれて白、と答える女性の挿話を書いたことがある。「だって、何色にも染められるから。」そんな瑣末な…

果てしない/闇の向こうに/手が届く?

読了したの大分前だけど。『アフターダーク』-村上春樹。ふと思ったのは、春樹と三人称の関係性について。ずっとそれで書いてきたからてのもあるけど、春樹には基本的に一人称(僕/私)がよく似合う、とされる。今まで多く書いた文章の中で、三人称の文章は…

 色褪せない気持にはたぶん不安すら届かない。

剽窃してるのは歌詞という記号ではない。歌詞自身の持つ意味内容、イメージでもない。イメージは文章を精製する過程で組みかえられるし、イメージから浮かぶ表層がたまたま、その参照元たる歌詞に連なり、剽窃という様式を有しているというだけの話である。…

秋風の中で鐘の音をきいた気がしたんだ。

愛と共に、僕は祈っているよ。君が、いつか道を見出だすこと。君には、真実に至る道を見つけられるよ。だって、君の後ろに道はずっとずぅっと伸びてるんだから。ほんとだよ? 射す光は今は暮れて、君はなんだか疲れてるようだね?ちょっと目を閉じて思い出し…

 似ている君に出逢いたいのに。

新幹線にて『平面いぬ。』-乙一、読了。「はじめ」はかなり良かった。後は正直、手堅い、というか分かりやすさが先行してるイメージがある。けど幻想と現実を繋ぐ、というスタイル自体は結構好きだし、「はじめ」はそれが淡さを纏いつつ綺麗にまとまってた気…

 quick notes #2。

いつになったら書くんだ、と突っ込まれそうなのでhttp://d.hatena.ne.jp/assa/20040620の続き。まぁそんなこんなで「理論」と「感覚」の共存、なんてことばをレポートで理屈ぽくものを語るのに疲れた僕がぶちまけた感じな課題雑文を、ゼミ教官であるとこのJB…

Closed...

『Alone Together』『MOMENT』-本多孝好。繰り返し触れてる作家だけどもあえて再び書こう。と再読して思ったのだけども。はてさて何を書いたものか……んー……。えーと、このひとの特徴て基本的にClosedな空間をモチーフとして文章を書いてるとこだと思う。冒険…

 Called...

『ミッドナイトコール』-田口ランディ。田口ランディの文章て、長編になるオカルトさが増し、短編になる程軽妙さが増す気がする。たぶん前者がそうなるのは、説明できない何かを必死に説明しようとしてみた結果だと思うのだけども、個人的には何を語る訳でも…

信じない、信じたい。

『ジョン・レノンを信じるな』-片山恭一。一躍時の人となった文章書きさんの96年作品。武器であるテンポ良く響く文体はそのままに、やや抽象的、観念的な部分と理解りやすい恋愛青春小説のプロットをはさみストーリが続く。基本的には「内面/史実/現在」と…

【次回予告】quick notes #2。

たぶん僕のレポートへのJB先生のコメントと絡めつつ、批評とエッセイ云々に対する僕の考えから、僕が行ったりきたりな文章書く理由に迫る。意味があるかは……知らない。

quick notes #1。

そんなこんなでhttp://d.hatena.ne.jp/assa/20040605の木村立哉さんのコメントからつらつらと考えてみたことを書いてみようかと思ったのだけども。はてさて。一気に書くと大変そうだから、断片的につらつら書きますわ。ふと想い出したのが、大学3年の後期にJ…

贖罪。

『愛の病』-狗飼恭子。幻冬舎文庫。恋愛小説家によるエッセイ。現実と空想の間を往復する少女的な文体でありながら、最終的に地に足ついてる、と思わせるのは、なかなかなセンスと思う。この作家はきっと、物書き、というよりかはむしろ、ことば書き、なんだ…

遥かなひとり歩き。

別冊宝島『音楽誌が書かないJポップ批評36 スピッツふしぎ☆発見』購入。題材が題材だけにテキスト論多いなぁ。そんなで流し読むにはやや「凝った」文章多く、マサムネの中性性とかそんなも特に積極的に読みたいとは思わないし、ちょっと読むの疲れそうなので…

 歌詞論の快楽。

『恋するJポップ』-難波江和英、読了。歌詞に焦点をあて社会学的アプローチ(?)で分析することで「恋愛/幸福症候群」な現代を問う書。てなんか日本語になってないな。んー。Words don't come easyと石田小吉が今iTunesで歌ってる……。話逸れたですね。全般…

 やがて君は鳥になる。

『Y』-佐藤正午、読了。ハルキ文庫。簡単にしかもざくっと乱暴に解釈して言うと、存在しない時間/過去の時間への思いゆえ有り得なかった過去を存在させてしまう非業のオトコの恋愛物語。時間を戻すことで人物の相関関係を連環させてくその感覚がこの文章の…

 からっと読み終えた。

『イノセントワールド』-桜井亜美。いつのひもこのむねにぃ……じゃなくて、狗飼を本屋で探すといつもずらっと幻冬舎文庫の棚に並んでいるんで、気になって読んで見ました。テンポ感があるし読ませる力はあるんだけど、それ以上のモノが余りないのは残念。どち…

 さらっと読んで見た。

「女生徒」-太宰治。新潮文庫『走れメロス』所収。1939年に、しかも30歳でしかも男性がこの文章を書いたのかと思うと驚かずにはいられない。とある女生徒の1日を女生徒のモノローグで延々綴る文章。この辺りで指摘されてるように明らかに少女マンガの源流が…

 Izumi meets Izumi.

『おしまいの時間』『あいたい気持ち』-狗飼恭子。半エッセイ的最新作『薔薇の花の下』で過去作品の1節が紹介されてたのが気になって久々に狗飼を読みなおし。つか内容殆ど覚えてなかったけど、改めて読むと、面白いじゃん。特に『おしまいの時間』。これ内…

 Shinagawa meets Odaiba.

『東京湾景』-吉田修一。『パークライフ』を読んだ時は、この作家さんは何を書きたいんだろう、てのが理解らず、きっと書き切れないことを書きたかったんだろうな、と解釈してたのだけど、この文章を読んでますます理解らなくなった。なんつか率直な恋愛小説…

 ポコ・ア・ポコ。

『リトル・バイ・リトル』-島本理生。読了。あえて何かをひた隠し、書くべきと思われるとこを書ききらないとこが不満だと、彼女の某作について某賞の選評の中で文句言ってる某えらいひとたちがいたけど、彼女の描くこのような文章でそんなもの書く必要ないだ…

こんな味だったけな?

『薔薇の花の下』-狗飼恭子、読了。恋愛小説家による恋愛小説家の恋愛小説。てか。繊細な文体で色々とすり減らして文章書いてるなぁと感じた初期、その痛さが薄れた中期を経て結局たどり着くのは自己言及なのか。と首を振って本閉じるにはちょっとひっかかっ…

人にやってあげたいことなんか、何1つできもしないくせに。

『蹴りたい背中』-綿矢りさ。読了。お得感に負けて文藝春秋で買いました。選評もあるし。素直に面白かった。『インストール』読んだときに感じた「心地よい文章書くけどその能力を持て余してないか?」的な感想を踏まえて言うなら、確実にその力を活かす術を…

pp。

「僕ら絶望の望を信じる/なんかわかんないかなって。」(中村一義/魂の本)だらだらと辻仁成『ピアニシモ』を読み終えたら(名作の要素と駄作の要素が拮抗したありがちでいてよく分からない文章だ)解説に島田雅彦が、村上春樹以前以後の「文学」について…