Izumi meets Izumi.

『おしまいの時間』『あいたい気持ち』-狗飼恭子

半エッセイ的最新作『薔薇の花の下』で過去作品の1節が紹介されてたのが気になって久々に狗飼を読みなおし。つか内容殆ど覚えてなかったけど、改めて読むと、面白いじゃん。

特に『おしまいの時間』。これ内容全く覚えてなかったんだけど、こんなステキな文章だったとは。ちょっと不意打ち食らった感じ。実際よくできてる、なんて言うには拙く、その上痛い文章なのだけども、それが却って心地良く響いてた。『あいたい気持ち』はどちらかと言うとその魅力がややこじんまりと纏まった感じ。

基本的に『冷蔵庫を壊す』を加えた初期3作は、恋愛や日常生活において「閉じた」傾向のある少女(少年)がある事件(恋愛絡み)をきっかけに「心を開く」というフォーマットで成り立っているのだけども、過剰に繊細な文体に多少食傷ぎみになりながらも結局読ませてしまい、最終的にその繊細さが「開かれ」を強調してる。これは立派な成長物語だと思う。純粋に良い文章、と言うよりかはむしろ「良い純粋な文章」、そんな感じ。