12 years old.

http://www.saitama-np.co.jp/news11/19/10r.htm

埼玉新聞て良いのである。レッズについて一番詳しいのはどんなスポーツ紙でもなく、埼玉新聞のスポーツ記者だと思う。地方新聞のスポーツ欄なんて大抵おまけみたいなモノだけど、埼玉新聞のレッズ記事は違う。サッカーを知ってる記事を書いてるし、何より、アイに溢れている。

河野正というレッズファンならお馴染みの記者がいる。12年間、ずっとレッズの記事を書き続けてきた。浦和レッズ自体からも原稿を依頼され書いたし、サッカーマガジンサッカーダイジェストに寄稿することだってある。日本で一番レッズを知りアイしている記者と言っても過言じゃないだろう。

山田暢久というレッズのキャプテンがいる。とかく気分屋な選手だ。日本代表にも選ばれたが、絶好調なパフォーマンスは見せられぬまま、合宿を他の選手数名と抜け出しジーコの逆鱗に触れて以来、代表には呼ばれていない。しかし実力は攻撃力、速さ、判断力、守備力全てピカいちな天才肌。右サイドの鮮やかな駆け上がりに何度「暢久最高!」と叫んだことか。練習にまた遅刻したとNACK5で聞き、またやっちゃったか、と何度苦笑いしたことか。試合中、一瞬さぼって、こらこら休むな、と何度突っ込みをいれたことか。けど今季の山田は違う。かつて一緒にプレイした監督のギドの逆鱗に触れ、レギュラーを数試合外されたのをきっかけに明らかに変わった。以前1度巻いた時には全く似合わなかったキャプテンマークも、今季は実によく馴染んでた。

リンク先記事のいちばん下。河野正がノブヒサについて書いてる。このふたりの歴史は即ちレッズの歴史と言っても良いだろう。しょうがないな全く、と苦笑し続けた12年間(ノブヒサは在籍10年間)。負けたら容赦無く叩く記事を書き、良い試合の後には歓びを露わにした記事を書きつづけた12年間。そしてノブヒサをアイし続けた10年間。その重みがこの記事には詰ってる。

今も歌ってるのか知らないけど、レッズサポーターは「Can't help fallin' love(好きにならずにいられない)」をよく合唱していたものだった。そう、好きにならずにはいられなかったひとびとに見守られ続けてたレッズの12年間。待っていたときがいよいよ目の前に迫ろうとしてる。そして、今も歌っているのか分からないけど、サポーターは大合唱するのだ。「Urawa Reds Champion !」

待ってたんだ、こうなる日を。気持は河野さんと一緒だ。僕は、ノブヒサの笑顔が観たい。そして、できれば涙だって流して欲しい。そして後日、しれっとこう言うのだ。「あれ?泣いてないよ?汗じゃない?」そんな彼の姿も全て、好きにならずにいられないのだ。