新海誠監督『秒速5センチメートル』。

全く上映されてるの知らなかったんだけど、通りかかったら「監督:新海誠 主題歌:山崎まさよし『One more time One more Chance』」とあったのみつけて、そのコンボは興味オオアリと衝動的に入ってみた。今更ながら、初新海。

光の使い方うまいなぁという印象。岩井俊二をアニメーションにしたらこうなるかな、という感じか。プロットは、ポストムラカミ世代の匂いを随所に感じる。ちょっと台詞の語りすぎやプロットの演出過多な部分は気になったけど、連作3話全体でみると、案外バランスがとれてたと思う。キャラクターデザインがいかにもアニメ画で僕的にはイマイチ。声もいかにも声優声でやっぱりイマイチ。

だけどんなことは最早どうでも良くって、映像とサウンドの絡みが素晴らしすぎた。特にディテイルの描き方が秀逸。

いや、以下もう客観的には評を絶対かけないので、適当に読み流していただきたいんですが。

あれです、宇都宮線の描き方。あれ私的には反則過ぎ。大宮を過ぎたあとの「ターミナル駅を抜けたら、一気に景色が開けて」というモノローグで立ち上る、あの路線独特の寂寥感。鼻をつく郷愁。随所に出てくる見知った地名。そこでもう客観的にこのフィルムは観れなくなってました。

トドメは主題歌の『One more time One more Chance』と、なんと唐突にBGMとして流れ出したLINDBERGの『君のいちばんに…』。この2曲並べますか。この2曲だけで自分語り原稿用紙20枚以上書ける自信ある、てくらいの思いいれある2曲だよ。しかも何気に、無関係そうに見えてモチーフとして効いているのだよ!これでやられないわけないじゃん!山崎は主題歌って時点で出てくるのわかるからいいんだけど、なんで今更、高校生ふたりが買い物してるコンビニのBGMや、カーステからLINDBERGの、しかもよりによってあの曲が流れ出すのか!これは何かの悪戯としか思えませんでしたわ。

……いや、取り乱して失礼。

そんなで余り客観的に観れない要因多すぎて判断しかねてますけど、とりあえず、新海作品はオールチェックの方向で行こうかと思わせるくらいには良い出来だと思います。リアリティあるウソを描きメタ・リアルを表出する、という、まさしくアニメの真骨頂ですね。

席をみると外国人が何故か散見されて、こういうのウケがいいのかなぁとか思ってみたりしました。僕の恩師がみたらどう思うんだろう。プロット気に入らなさそう。

One more time,One more chance 「秒速5センチメートル」Special Edition

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LINDBERG BEST FLIGHT RECORDER III(1988-1998)

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