白線流し〜二十五歳。

http://www.fujitv.co.jp/hakusen/f_25.html

03年に放映されたものをようやく観た。25歳だし。

『白線』は高2のとき友人にビデオ借りて観て以来、ある意味バイブル。岩代太郎によるサントラを聞くと、一時自動的に目頭危険になる頃あったので下手に聴けないくらい。少女マンガ的な何かを映像化したモノの中じゃ、白線と岩井俊二モノは僕の中ではちょっと抜けてる。どっちもフジ系。『ラブレター』も酒井美紀×柏原だな。あれの主役は中山美穂じゃないからね。主題歌がピロウズではないのと同じように。

で、4本目の続編なのかな。流石に時間の制約もあるし(短時間なもので、皆偶然よくすれ違う)、10年前と同じモノを望むのはむつかしいけど、続編にありがちな、視聴者に迎合したサービス精神満載な感じが一切ないとこが良い。何せ、長瀬と酒井が出会うシーンはこの2時間弱の中で、多くのひとが街中ですれ違っていった中で、たった数分、ワンシーンしかない。会話も殆どない。けどこのプロットでこのふたりがいっぱい逢っちゃって、いっぱい喋っちゃうとそれこそ台無しな訳で、そのたった1回の刹那の邂逅が実にうまく物語全体に効いている。

細かいところだと、実に「橋」がモチーフとして多用されている。大事なシーンにはほぼ橋がかかっている。細い橋から立派な橋まで。園子が引っ越したマンションも橋の傍にあるというこの拘りよう。25歳はこちら側からあちら側に渡る「境目」だという、一種のメタファーなんだろうか、なんてのは読み過ぎだな。

勿論、最も印象に残るシーンは、背中合わせに橋を通り過ぎる、あのシーン。本当は会話なんてなくても良かったのかもしれない。会話は最小限の視聴者へのサービス精神だったのかもしれない。だけどいずれにせよ、会話はただの雑談でしかなく、2人がすれ違って異なる道を進むことを示唆し、物語はエンディングへと向かう。橋はそのすれ違いを俯瞰する装置として有効に機能する。傍には川が流れていて、行く川の流れは絶えずしてしかももとの流れで非ずなんて、思わず呟きたくなってしまうなんてこともなくもない。裏で流れてくるのは、常緑ナンバー空も飛べるはず。だけど空は飛ばず、すれ違ってそれぞれ歩いていく。理解てのは、結局はすれ違いの始まりなのかもしれない。そんなモチーフも、やはり少女マンガ的である。もう一生抗えないモチーフ。

05年にはこのシリーズは完結してる。僕はテレビでみなかったので、どう完結したかは知らない。DVDのリリースを待つのみ。まぁ年齢リアルタイムで観るには、2年ずらしてみるくらいが、丁度良いのかもしれないな。折角だし。実際、とても良いタイミングで見れたと思っております。2年後を楽しみに。