Who is the STAR?

http://d.hatena.ne.jp/nov46/

いよいよ「渋谷系とJポップの狭間」にある90年代ポップス(L⇔Rとかスパイラルライフとか、正史では語られなかった方々)という、今まであまり語られなかった部分が当事者から語られてきてる。ここで語られてるのが彼も関わったフリッパーズギターという中核ではなく、L⇔Rという周縁だってのはとても興味深い。近いうちにid:nov46氏(P社の役員らしい)の公演会もあるとのことで、是非都合つけば行きたいですなぁ。

こうやってJポップはまたひとつ歴史化されてくんだなぁ。15年なのかぁ。そしてその時間の経過を踏まえた上で発せられる「レコード産業は典型的な資本主義ということを思い出させられます」という一言はなかなか重く、深い。90年代の「Jポップバブル」はまさしく、80年代にカタログ化された音楽がビジネスツールとして洗練していった時代でもある。菊地成孔氏の言う「90年代ノットデッドの痛さ」てのもその辺りに起因してるのかもしれないなぁ。なんて、つらつら思いつき。

折角なので、最近聴いたような気がするその近辺の音より思いつき走り書き。

『ウグイス』-スネオヘアー

30代で2000年代デビュー。密かに90年代に青春を過ごしていた世代が遅咲きのデビュー。てことで、2000年代に音の端々で90年代の繊細なギターポップの空気を醸していたスネオヘアーが、おおっぴらに衝動的なサウンドから浮遊感あるポップに転化した記念すべき一枚。シンセのリフ。サビのファルセット。イントロのSEからさわやかなノイズのギターの洪水……と美味しいとこどり。それらの音をストーリー性をもって混ぜ合わせる高山徹のこのミックスはちょっと泣ける。CCCDは悔しい。

『Wondering』-黒沢健一

L⇔Rを活動休止にして以降、健一氏は6割くらいのチカラで、深く考えることなくポップスをやってたように思える。それは自身の音楽はマイノリティであるべきだ、というL⇔Rからの反省からくるものな気がするし、それをソロになってからの彼にはどうもピンとこないというのも酷と言うものだろう。とそういう言説に出会うと贔屓目に何時も思う。そんな中でも『Wondering』というソロデビューシングルの出来は出色で、色気を出さない気取りも何もない黒沢の自然体が存分にあふれた名曲。気取らずこういう曲かけて歌えるんだから、その才能はまさしく天性と言うべきだろう。イントロからの展開と細かな音作りはちょっと脱帽です。20円は哀しい。

『Missing Piece』-MOTORWORKS

ソロ以降、黒沢健一の6割の壁をぶち壊したのは、これでもかという黄金律の名バラード『Missing Piece』だったと思うのだけども、最早咲き誇るには遅すぎたSpiral LifeL⇔Rスピッツという90年代Jポップ周縁ドリームチームのセールスは華々しくなることなく秋空にかけらと散る。やはり90年代をメジャーの真ん中として演奏るには04年は遅すぎたのだ。もちろんまだ聴きたいけどさ。頼むぜ、06年。さよならは未だ早い。

『Angel』-ROSY。

スパイラルライフサウンドで一部マニアにはおなじみのROSYが岡井大二のプロデュースでデビューして一枚アルバムをつくってるなんて、沼津のブクオフで偶然みつけるまで全く知らなかった。このアルバムの音は、所謂ガールポップ全開な佳作。岡井も限界を知ったのか、スパイラルを解散させた石田小吉にプロデュースを託す結果となった。その第一弾シングルが『Angel』。

そのプロデュースもシングル2枚出した後は予定されてたアルバムの発売が中止になるなど、ふるったものではなかったけど、石田小吉のプロデュースキャリアの第一歩となったこの盤は、WITS(Witz)色を継承させようという石田の意地みたいなモノが感じられ、とても繊細さに満ち溢れたグッジョブだった。石田プロデュースのフルアルバムが出ていれば、或いは90年代のガールズバンドの歴史は変わっていた。のかもしれない。

『ハチミツの花』-コンタクト。

現在進行形でWitzレーベルを引っ張るバンド。シュールでロマンチックな歌詞と、展開力のあるメロディ、シンプルだけど立体感あるアレンジで、センシチブな感情を浮遊感満ちてゆらめき歌うバンド。て書いたらどんなバンドだか分からなくなっちゃった。間違っても戦メリとか言っちゃいけない。