2005年 第4回マイ・レコード大賞 受賞式。
と言うわけで、毎年の恒例行事ですいってみましょう。去年のはこちら(id:assa:20050101)。
【大賞】『joy』-YUKI。
2005年はYUKIの年でした。非常に語るのに難しい面もあったので、あんまレビューは書かないでいたんですが、このアルバムをきっかけに、ずば抜けた存在感を身につけていったなぁ、と思い大賞としました。基本的にはYUKIはロッカーではなく、ポップミュージシャンだと思うのだけど、そのヴォーカルがもつキャッチーかつ若干キッチュな「ポップ」センスに、彼女に提供される曲が追いついたという印象。その皮切りが蔦谷好位置による『JOY』だったと思います。この世の中を「JOY!」と言い切れてしまうことがウェルメイドなポップミュージックの素晴らしさであり、美しさなんだな、と。つくづく。
【大賞次点】『カナシミ』-スネオヘアー。
選びきれないよ2005年はチキショウ、とか思いつつ、ちょっとなかなかオトが好みだったし、くるりは他でもほめてそうなので、2年連続次点にスネオもってきてみました。90年代ノットデッドの象徴の地位にまで上り詰めてきた感があるというか。ただ、安定感と充実感がほとばしる余り、彼の楽曲に満ち溢れてたギリギリな焦燥感が薄れたのが、皮肉にも大賞には押されない要因というか。
次点候補としては他に『スーベニア』-スピッツ、『ether』-レミオロメン、『NIKKI』-くるり、『A day in the LIFE』-AIR。くるりはあと半年リリース早かったら文句なしで押してたかも。
【新人賞】Singer Songer。
彼ら彼女らを新人と呼ぶのは反則な気もしますが、どう考えてもやはり究極の新人だったと思います。アルバム『ばらいろポップ』は、シングルみたいにさわやか路線で突き進むのかと思いきや、聴いてみたら実に深みあってなかなか良かった。
【最優秀楽曲】『ドラマチック』-YUKI。
詳細は『joy』の評で言い尽くしてますが、ほんとYUKIのヴォーカルの魅力を引き出し切った、よくできた曲です。
【優秀楽曲】『冬色ガール』-スムルース。
シングルリリースは05年ではないのだけど、アルバムで石田ショーキチがリミックスしてたんで、つい。いや。これは名曲ですよほんと。この曲の持つ力は今年最大の驚きのひとつでした。
【優秀カヴァー】『STEP TO FAR』-chemistry。
ありがとう堂珍。紅白歌手にカヴァーされるスパイラルライフの巻。
【企画賞】『locus and wonders』-SCUDELIA ELECTRO。
お疲れ様でした。もう観方は忘れたけど、DVDの隠し映像はちょっとぐっときました。2chの石田小吉スレでMona recordsライヴ辺りのログさらえばどうやって観れるかはでてきますのでご参照下さい。短いけど良い映像です。
【MVK賞】『ストレンジカメレオン』-Mr.Children。
最もValuableなKaraoke曲に送る賞。こればっか歌ってました。
【MIL賞】『Sunset』-AIR。
最もImpressiveなLyricに送る賞。なんと「ぱぱぱぱぱぱぱぱ」。だって、こんなに「ぱ」が歌詞にはまるなんて想像だにしてなかったんだよ。
有線で流れたときは、こんなにおもろいBGMはなかったんだけど、買ってみた途端聴かなくなった曲の典型。
【特別功労賞】iTMS日本上陸。
やはりこれは最大のインパクトでしょう。毎週アップされる無償ダウンロードや、たまに起きるアルバム50円祭りはうれしかったです。
【特別功労賞】SCUDELIA ELECTRO解散。
ありがとう。
【功労賞】ORANGE RANGE。
ありがとう。AIRをほめてくれて。
【最優秀ライヴ】SCUDELIA ELECTRO解散ライヴ「Finalizer」@渋谷AX(6/17)。
id:assa:20050617。もうここで言い尽くした。
【優秀ライヴ】AIR@恵比寿リキッドルーム(11/9)。
id:assa:200521109。もうここで言い尽くした。初日は良かった。はじまり「my rhyme」てのはほんと良かった。
【総評】
05年の選考にはとても悩みました。というのも、質の高い音楽がぞろぞろ現れたはずなのに、改めて思い返してみて、「今年はこの1枚だな。」て盤が数多くでてこなかったから。これはiPodを買った影響とか、年齢をまたひとつ喰った影響とか、忙しくて集中して新譜をなかなか聴けなかったてのもあるんだろうけど、だけど、にしてもよくできた音楽は多くても、印象に残る音楽はその数ほど多くはなかった。なんだろうなぁ。
そんな中でYUKIの存在感はずば抜けてました。単純に1ヴォーカリストとして。かつては世を席巻していたガールポップていうもの自体がなかなか存在意義を見出せない昨今で、実に稀有というか、ガールがやるポップスの生き残る道を示したのが『joy』だったと思う。本来なら『joy』はあくまでスタートだと思うし、この次に期待されるアルバムに賞を上げたかったのだけど、それを抜きにしても一連のシングルの出来も抜けてました。05年中耳をぶん殴られ続けた。キンキンうるさいだのと思ってて昔はむしろ苦手なヴォーカリストだったんだけど、曲によってほんと変わるもんだなぁと思う。
その他、音速ラインなんかはインディーズ盤聴き始めてきにいって、粒の大きい新人きたかな、と一時は思ったんだけど、アルバムの出来が想定を超えてくれなかった。シングルの路線をそのまま継続しちゃったせいか耳に残らなかった。こゆのはほんと残念でした。本当に新しく聴き始めるひとが少なくなった。これはまぁ、ライフスタイルが変わってったてのも要因としてあるんだろうけど、もっと規格外というか、買わねばなるまいよという新人や中堅がどかんと出て欲しいです。ミカンは確かに興味深い規格外なんだけど、好みという点ではストライクとは言い難いしね。
けど例えばレミオロメンみたいな真正面なポップスをやる人たちが、セールス面でもきっちり評価されるようになってる、みたいな良い土壌は出来てると思うんで、本当に真に迫るポップス(ポップスてそもそも偽者だから真に迫るって難しいんだけどね)が06年聴こえてきて欲しいと思います。とりあえずは、一連のシングルの出来が非常に良いYUKIやthe pillowsに期待ですかね。そこかしこから名盤が生まれる予感はあると思う。さぁこい。