続々々、これは渋谷系ではない。

いや、探してた文献て『渋谷系元ネタディスクガイド』なんですけどね。結局見つからない。実家かなぁ。

そんなで細かい内容まで責任持って引用できないのだけど、その中で確かSpiral Lifeをとりあげた村田知樹さんはこんな趣旨のことを元ネタガイドの前書きで書いておりました。「Spiral Lifeを<渋谷系>として紹介することに戸惑う読者は多いかもしれない。けど彼らは同時代に聴いた音楽のシンプルなギターリフやなんかを引きながら気持ちよく音楽をやってるように感じる。自分がバンドをやるとしたらこういう音をやりたいなと思う。」的な。……ニュアンスしか覚えてないので、詳細はどなたかフォローして下さい。

恐らく「Spiral Lifeを<渋谷系>として紹介することに戸惑う読者は多いかもしれない。」というのは、前述した「元BAKU」「ニセモノのニセモノ」「元ネタがあからさま」「売れ過ぎ」という辺りに起因するエクスキューズだろう。けど村田氏的には「渋谷系とはちょっと違うけどその違う部分になんだか共感する。」という思いで敢えて紹介に踏み切ったらしい、てニュアンスが前書きから伝わってくる。どちらかと言うと、渋谷系云々というよりかは、良質な洋楽の(恐らく村田氏も聴いてきた)音楽の「紹介」をする*1のに良いサンプルとして取り上げた、という印象を受ける。実際、元ネタガイドの後の「スパイラルライフファンに薦める洋楽10枚」みたいなコーナーでもそういう紹介の仕方をしていたと記憶している。

と言う訳で、『渋谷系元ネタディスクガイド』なんて直球な題名の本にスパイラルは名前を連ねつつ、どうにも取り上げた本人からしても「渋谷系的ではあるが、やっぱ渋谷系ではないかもね。」て感触で取り上げていたらしい。むーなんか複雑だ。そんなメディアの取り上げ方が、「スパイラルライフ」って立ち位置中途半端だよねー、てゆ言説を生み出した根本なのかもしれない。

……とかなんとか、て学生の頃は思ってたんだけど、卒業後、ひょんなきっかけでこの本の著者の1人に名を連ねていた方にお逢いすることがあったのだけど、氏曰く、元ネタディスクガイドにSpiral Lifeを入れるかどうか、てのは作り手サイドでも議論になったそうで。で、結局、決め手になったのは、「Spiral Lifeのセールス」だったそうな。つまり、当時は上り調子だったSpiral Lifeを入れとけば売れる、という算段で入れたという。うーむ。なんだか複雑な心境再び、だ。

けどそんな本を読んだのがきっかけのひとつで書いた文章が評価されて、それがきっかけでその本の著者に出会えたというのだから、人生てのはつくづく不思議なモノだ。そんな人生の奇異さに比べれば、この宇宙の広さに比べれば、スパイラルが渋谷系か否かなんて、実にちっぽけな話ではありませんか。ウソのウソはホントじゃないかもしれなが、ニセモノのニセモノは案外ホンモノかもしれないですよ。

以下関連URL。

■OCNスペシャル「渋谷系とはなんだったのか?」
http://ocnspecial.blogzine.jp/blog/2005/02/post.html
■同情論例。
http://d.hatena.ne.jp/originalovebeer/20050215/p2
SCUDELIA解散記事にぼそっとひとこと、「Spiral Life渋谷系におけるイイカゲンな扱われ方にもいつも同情しています。」


*1:この「紹介」行為を、Spiral Lifeサウンド・オブ・マイ・ジェネレーションなんて横文字使って理屈化(思想化)してたのも特徴的だった。こういう理論武装を元にした引用の仕方は、渋谷系に溢れるクールネスだのある種の諦観だのマニアックさだのとはどう見ても似て非なるモノだ。