If it is the Amazing game or not......

浦和レッズ大分トリニータ戦。テレビ観戦。今年のJリーグのコピーはかくの如く語っている。「Amazing J!」*1。驚きを、興奮を、感動を。すなわちそれが、Amazing。

今日の勝利監督のインタビューのコメント。

「四月は運も味方してくると思います。」

今日の敗戦監督のハーフタイムのインタビューのコメント。*2

「我々は初めから12人を相手にしなければならなかった。」

しかし、これが事実だ。今日の試合を象徴する全てだ。

サッカーは言うまでもなく11人対11人でやるものだ。と思っていたら大間違いで、そこには采配、ベンチワークだの、環境だの、さまざまな要因が絡んでくる。最も試合に影響しやすいひとつが審判によるレフェリングなのは言うまでもないのだけども、今日ほどそれを痛感する試合は久しぶりだった。

聡明で情熱的なドイツ人監督によるなら、大分は11人に加え、審判という1人を相手監督の言うところの「強運」で味方につけ、12人となったという訳だ。そして浦和は、前半だけで退場で2人の選手を失った。客観的に観て、アルパイの短気なプレイ外での行為の結果の退場は軽率だったと思うが、ネネのプレイはイエローならまだしも、一発で赤いカードが出る根拠の薄いものだったと言わざるをえない。

浦和は、山田暢久、長谷部の美しい2列目からの飛び出しからのペナルティエリア進入をファウルすれすれのプレイで止めた相手へのお咎めがなかったことで、2回のPKの機会を失い、さらに山田はその相手のつぶしで肩を外し負傷退場、さらにさらにシミュレーション行為ということでイエローカードまで受けた。泣き面に蜂とはこのことだ。審判は山田のみに警告を与えたのではない。カウンターから体を張ったドリブル突破をするな、迂闊に倒れるな、と浦和に警告を与えたのだ。こうして、浦和は9人で点をとるためのひとつの武器を封じられた訳だ。ペナルティエリア外でもそれは例外ではなく、9人でDFに追われ満身創痍の浦和は、エリアに近い位置でのFKもロクにとれなかった。エメに対し体を当て、あからさまな進路妨害で止めにいった相手に警告も殆どでなかった。

そして、9人で懸命に守っていた浦和は、たった2回崩され、うち1回で失点した。マークは外れていたが、こんな状況では誰も責められない。浦和は11人、いや、12人の相手に9人で戦っていた。守りは崩された場面以外は素晴らしいものだった。特に長谷部、田中達也、エメルソン、平川の攻守に渡る献身ぶりは、感動鳥肌モノだった。内舘、坪井の急造DFラインも、5人6人とペナルティエリア内に駆け込んでくる相手に対し、冷静に対処していた。それに対し、大分は「何時かは点がとれるだろう。」と、延々眠ったようなサッカーをしていた。結果、12人対9人という、3点とれる状況で2回しかチャンスを作らず、1点しかとれなかった。

今年のJリーグのコピーはかくの如く語っている。「Amazing J!」。驚きを、興奮を、感動を。すなわちそれが、Amazing。

観衆がこの試合を観て、どちらのプレーぶりに感動を覚えるだろうか?僕は浦和ファンだから客観的に判断はできない。けど、今日の試合でJリーグはじめて観たひとがサッカーを好きになれるかと言ったら、それは1サッカーファンとして首をひねらざるを得ない。

審判には、プロのレフェリーとして意識すべきみっつの原則がある。「公正/公平に裁く。」「試合の流れを読んで裁く。」そして「高いレベルの試合になるよう試合をコントロールする。」果たして今日の主審にそれが出来ていただろうか?こんな笛を吹く審判、彼の名は西村というが、その彼がJリーグスペシャルレフェリーだという事実。なんだろうスペシャルって?

ともあれ、事実として、浦和は勝ち点3を失い、大分は勝ち点3を得た。満面の笑みだった勝利者監督の言によれば、その強靭なる「運」で以って。これを「Amazing」な試合だと言うなら、Jリーグは危機に陥ると本気で思った。まず、リーグ開設10年を経た今、あのようなジャッジングをする審判が居る、ということ。「運」で勝ったことを本気で喜び、満面の笑みで選手と抱き合ってる監督が居る*3ということ。これが現実なのだ。改めて目の当たりにして僕は、テレビの前で膝を叩く。泣きたいときは泣いてもいいよ、と隣で囁いてくれるひとがいれば、大泣きしていたかもしれない。これが現実なのだ、事実なのだ。

希望があるとすれば、1.5人分は走っているだろう、懸命に守る選手の姿と、それに対し途中湧き上がった「We are REDS!!」コール。今年のJリーグのコピーは、飽くまでも、かくの如く語っている。「Amazing J!」。驚きを、興奮を、感動を。すなわちそれが、Amazing。


*1:http://www.j-league.or.jp/amazing/ コピーの横に「アリエナイ瞬間、ガアル。」とある。確かに大分でありえない瞬間があったことは間違いないけど。

*2:オフィシャルサイトに試合後のギド・ブッフバルト監督のコメントがでた。http://www.urawa-reds.co.jp/tools/cgi-bin/view_sokuhou.cgi?action=view

*3:よくよく考えなくても、書きながらジーコの顔が浮かんだ。嗚呼……。