We really got the HEAT WAVE !!

MOTORWORKS@渋谷AX。

※※昨日書き忘れましたねごめんなさい。以下警報発令です。ツアー中につき、ネタバレ注意。※※

以前、10月17日恵比寿リキッドの際、頭が冷静になれず何も書けず悔いばかりが残っていた今日このごろですが、この機会に、ちと、まとめて総括がてら書いてみよう。



つか、良い。良すぎ。



……てまたレビューになってないて。もうちょっと子細に書けて。という訳で書いてみる。

まず、恐らく今年のライブ納めだろうから、先に言っておくと、今年のベストライブは今日のライブだわ。恵比寿との違いはと言うと、音響面での違いが大きい。AXて音響的に特に優れてるて話も余り聞かれないけど、純粋に天井が高い分、声や楽器のオトのヌケが良いのよね。何せ看板ヴォーカルとギター掻き毟り眼鏡のコーラスのヴォーカルバトルが私的には一番美味しいバンドなだけに、声のヌケが良いてのは重要。だって「Speeder」がハモって聞こえたの、今日が始めてだもの。今まで、このバンドて楽器が爆音なだけに小さいハコでオトが篭ってしまうことが多くて、特にイシダの声(下ハモリが特に)が通らず損してきた部分大きかったんだけど、今日はちゃんと聞こえてきて、はまってて嬉しさの余り泣けそうでしたわ。ともかくそんな。セットリストの並び等の違いはあれど、基本的なラインは同じなので、恵比寿とまとめてレビューを書いちゃう。

何が良い、て、とにかく「突き抜けた楽しんでる感」としか言いようがないだろう。演奏面でもそうだし、MCで見せる笑顔やしょーもない(褒めコトバ)パフォーマンス。もうやりたいことやりきっちゃってる。しかも真剣に。かなりマジに。イシダのギターへの向かい方、引き倒しぶりはスクーデリアの頃より更に増してるし、グルーブ感と遊び心が満載なリズム隊がしっかりそれを下支えしてる。というか一緒になって一体になって引き倒してる。ベースそんな引き倒す曲じゃないだろう、て曲とか、ドラム8ビートじゃん、16刻まなくて良いのに、て曲とかでも、とにかく「弾きたい!」という衝動に任せて弾きたいだけ弾いてる。CDを一聴すれば理解るのだけど、場を改めて目の前で圧倒的な音圧でそれをやられちゃ、もうノックアウトだ。楽器を楽しみ器とは良く書いたモノだ。ギョーカイと人生の酸いも甘いも知った器の大きなプレイヤー(演奏者=遊ぶひと)がひたすら体力とスキルの限界出し切って楽しんでるのだ。これを目の当たりにして楽しくならない方がおかしい。

そして、このバンドにおいて重要な鍵となる最大の楽器は「声」であることは言うまでもない。もう例えるなら砂に書いた……じゃなくて、ある種コンサートマスターである黒沢健一と、コンダクターである石田小吉の一騎打ちパフォーマンス状態。主に美メロを声で演奏するのは黒沢健一なのだけど、それはイシダとの調和と衝突を起こした時に、更に力強く、説得力のあるモノになる。「The Slide」なんてその典型だけども、互いに「自分の声に交われるものならかかってこい!」てな感じで遠慮なく声をマイクにぶつけるのだ。そらもう重なった瞬間の昂揚感たらない。ただでさえハモリフェティなのに……イシダメインで黒沢ハモリの曲(「ステレオ・ラヴ」と某「神踊」)とか、カバー曲での掛け合い(マイジェネとかユリアリゴットミとかキャントエクスプレンとか……)とか……フツウ、ハモリて言ったらカラオケボックスの僕みたいに控えめにやるわな。もしくは優秀な楽器プレイヤがハモリが下手なケースてのも多々あるモノですわな。それが全くないんだものな。(イシダの歌が一般的なヴォーカリストに比して巧いか、て議論はとりあえず置いておいて下さい。僕は大好きです。)

ともかく美メロとロマンチックリリックをそんな真剣な楽器バトル状態を観客を巻き込みつつ矢継ぎ早にやってく訳ですわ。何処の誰かとは言わないけど「ほらみんな聞いて?良い曲でしょ?海へこぎだそうー(恍惚)泡沫のー(スゥハァ)虹ー、て言ってる自分がハッピーでしょ?ほらハッピーのお裾分けだよー。何から歌おう、散々悩んで<Good To See You>かな?」みたいなナルシシズム部分が欠片もないのだ(困ったことにそれはそれで苦笑まじりに好きなんだけども)。つか実に泥臭い。けど図抜けてカッコイイ。面白い。楽しい。昨日のレビューにも書いたことばで「会場かき混ぜ」てあるけど、とにかくかき混ぜられっぱなしなのだ。しっとり系とアップテンポ系とサイケ系の曲のバランスも指揮者イシダのカヴァー選曲センスもあってか、丁度良い。もうこちらとしちゃ脳内泡だって立派なメレンゲ状態だ。ふわふわふるる。

この真剣具合の要素のひとつに、カヴァー曲の存在は欠かせないだろう。過去の名曲に多大なるリスペクトを送ってるからこそ、この真剣勝負が可能なのだ。リスペクトしてる自分たちの好きな曲をお粗末にできる訳が無い。そして素材としての原曲が良いから、これだけの「楽しい」調理が可能なのだ。セルフカヴァーも含めるとさ、神踊りからリボルバーの終曲のリズム隊への切り替えとかさ。そのときのサイケ具合とかさ。ベースて楽器にはそゆ演奏法があったのか田村!みたいなさ。なまじ中途半端で、ただ単に原曲の知名度に頼って、そこそこの技量しかない人間がカヴァーを多く「歌わされてる」J-POP界の現状を見てると、この技量も伴った上での「原曲への姿勢」的な部分は一層際立つ。そして、そんな曲の中に自分たちの曲も放り込む訳だから、その曲のクオリティの高さだって要求される。だからこそ彼らは、1ステージ1ステージ聴衆を巻き込んで、「真剣に遊ぶ」のだ。たぶん。

(誰とは言わないけど昨日のとあるライブで「皆も歌ってください」て言った曲殆ど誰も歌わず、今日黒沢が「Hey You Say!」と煽った部分大合唱になるのはそゆ諸々の違いから来る象徴的な現象のよな気がする。けどどうだろう?イシダとこっちのKKよりの色眼鏡だろうか?……たぶんそうかも……。)

そんなこんな。カヴァーから始まった、ふたりのメロディメーカー+ヴォーカリストを抱えるオトナな新人バンドMOTORWORKSならではの良さが存分に出たライブでしたとさ。つか、良い。良すぎ。それだけでことば要らないや。良いモノは良いんだ。楽しいモノは楽しいんだ。これを音楽と呼ばず何と呼ぼう?僕は君たちと何時までも何時までも走り続けたいんだ。


余談だけど、「The End」で「あーこれでライブ本編終わっちゃうのか……」と感傷的になったせいか、迂闊にも目頭かなり熱くなった。だけどけど、どうやら「The End」ではないらしいじゃないか。アルバム1枚で終わると思ってた奴らざまぁみろ、とイシダが何度も毒づいてるではないか。新曲が出るらしいじゃないか。幻の名曲「プラスチックソング」*1に1から8までの数え歌*2が収録のシングル発売らしいではないか。八までとはこの末広がり。何だか来年音楽界、何か良いことありそうだ。とりあえず発売日は3月2日、その日までは絶対生き延びなければなるまい。人生、楽しめるからには、楽しめるときに楽しまなきゃソンだって、なぁ?

*1:音楽配信サイト「Mora」にてアルバム全曲とセット販売2300円という凄まじいまでのお値打ち価格にてバンドメンバの預かり知らぬところで商売道具にされてた配信されている特典楽曲。リミックスにて次のMOTORWORKSのシングルに収録だそうだ。その報せを聞いた瞬間、AXの中心で「勝った!」と心の中で叫んだのは、恐らく僕だけではあるまい。

*2:タイトル未定らしい。あくまで私案ですが、「8 count」なんていかがでしょう?て、ゆずだなこれじゃ。けど「1、2、3」じゃ中村一義だな。いっそ1・2・3でジャンプアップする「1999」にちなみ、その次の中日リーグ優勝の年、「2004」にしちゃうとか。これはまるでギャグだな。