合唱顔と「オトノハコ」。

音楽部時代の知人に「うた魂♪」の話を振ったら、そういえばという感じで「オトノハコ」の話に転じました。

オトノハコ (KCデラックス Kiss)

オトノハコ (KCデラックス Kiss)

これもなかなかの名作です。

うた魂♪」は完全にアウトサイダー視点で合唱をとらえていて、そこが逆に新鮮だったわけですが、「オトノハコ」はインサイダーな視点で合唱を描いています。著者が経験者なのかもしれません。

「細かいとこの描写がヤバいです」と知人は申しております。言われると、なるほどたしかに。現場を知っている人のセンスの業ですね。

「オトノハコ」と「うた魂♪」に共通しているのは、「愛すべき凡庸さ」とでもいうべきものがキャラクターにあふれていることです。

「愛すべき凡庸さ」というのは、特に学生合唱を語る上での重要なテーマだったりする気がします。

たとえばのだめのように、天才がいる世界じゃないわけです。美人ソリストとか、イケメン指揮者とかそういうのが求められる世界ではないわけです。

そこへくると、「うた魂♪」の主役に夏帆を起用したのは正解だったなと思うわけです。キレイだけど無茶苦茶に美人ってわけじゃありません。美人というよりは、美少女の部類です。何処となく、垢ぬけません。だけど、凡百の女優に比べて、「愛すべき凡庸さ」を多分に抱えてるキャラです。

昨日の話につながりますが、その抱えている凡庸さこそが、「合唱顔」のラインに沿ってるわけです。 あれで、オペラ顔のソプラノにバリバリ歌われてはいくら歌が夏帆の百倍うまくても、現場の空気感が台無しというものです。

「オトノハコ」の筆致もそうで、デフォルメされつつも、繊細なタッチで描かれるキャラクターたちは、これまた文科系独特のアウラをまとっているわけです。これもかなり忠実に「合唱顔」してます。そういう意味では、両作品は実に忠実に、合唱という世界観をつくりあげているといえるでしょう。

……あれ? オトノハコの話のつもりが、「合唱顔」の話に返ってきてしまいました。

いや、昨日のテキストできた反響がすべて「合唱顔ってあるね!」というものだったので。図にのってみました。

余談なんですが。社会にでると合唱をやっててもなかなか「合唱顔」にあえないんだよね。……これが大人になるということか。