こんにちはストレンジャー(the pillows@SHIUYA AX)。

the pillowsライブでした。ピロウズ史上最も、セットにカネのかかったライブだったはず。小細工、というか、大道具がすごかったです。電飾やらバルーンやら。曲も新旧織り交ぜいい塩梅。

しかしピロウズって、つくづく見せ方が上手いよね。型がある、ていうかな。

ロックンロールとプロレスは似ている、と言ったのは、村松ショータローだけど、まさしくそんな感じかな。

たぶん、そういう見せ方を重視したのは「Ride on Shooting Star」が最初だったか。イントロのリフのときの、あのベースとさわおのシンクロ振り付けね。あれはまさしく「必殺技!」という匂いがする。観客のボルテージも上がるし。「サードアイ」も血沸き肉躍るね。さわおがギターを両の手で持ち上げた瞬間の高揚感、その後の、客席からの男くさいコール。たまらん。どっちのタイトルも、プロレス技っぽくも聞こえるとこがポイントでもある。

ほかの要素としては、小技がきいてて見てて飽きない山中さわおの存在がでかい。すっかりお馴染みの、肘から下をくるくる回す小車輪弾き(というのか?)。ちゃんと弦にピックをあてられているのかどうかもわからない鋭角な角度での直線的斜め弾き。「ぁぅぃぇ」の掛け声。何回やってるか数える気にもなれないくらい繰り返されるジャンプ。この4点セットもまさしく「型」の世界である。目をまんまるくあけて歌う姿も絵になるし。

最近では、型をわかりやすくお客さんに提供する曲を書いてるのも特徴か。「サードアイ」はもちろんのこと、「Young Star」のサービス精神は見事だな、とライブで初聴きして気づいた。「Wake Up!」の掛声と、ちょっと凝ってるけど誰でもたたけるハンドクラップのリズム。 他にも、古くからのファンからすると、やっぱり忘れてならない、両手拳突き上げ。これ以上ピロウズを象徴する記号はほかになかろうに。最近は普通に拍手しちゃう人が多くて寂しいわ。

……などなど。まぁ楽しくてしゃーないですよね。こういう「キメ」がたくさんあるとね。骨太のロケンロールやるバンドでこういうサービス精神旺盛なことやってくれるとこって案外少ないから、「ピロウズのライブなら楽しませてくれるよなー」って安心感は抜群にある。だから動員も伸びてるんだろう。チケット手に入りづらいなチキショ。昔は当日券で全然はいれたもんだぜ。

「ちょっとストレンジな君たちに捧ぐ」というようなことをMCでさわおが言ってたけど、あれだけの人数すべてが、ストレンジな的感性を持っているかというと、それはNOだとも思う。ひょっとしたら、ピロウズの曲の、内向的な部分なんてさて置いて「変なやつが清涼感ある音楽歌ってるぜ、まぁひとつ騒ごうかAHAHA!」的に観てる人もいるかもしれない。フリクリピロウズ知ったアメリカ人なんてそっち系だろう。さみしい反面、それはそれで構わないとも思うのだ。ショービジネスってのはそういうもんだから。というか、アーティストとリスナーの意識なんて、シンクロしないほうが断然健全だよね。アーティストってのは「仲間」ではなく「異人」だから。

何が言いたいかっていうと、ピロウズのライブって、見せる側と見る側の役割分担がしっかりしてて、見せる側が持つストーリーのスジガキもしっかりしてるから、参加していて清々しいし美しいということ。結局のとこ、ミュージシャンが「メジャー」になるには、その「スジの美しさ」が必要だったりするのである。それこそが「ショー」の娯楽としての正しい姿かもしれない。かくして、山中さわおはステージの中心で「必殺!ハイブリッドレインボー!」とか叫ぶのである。彼をストレンジャーとみなす大勢と、彼を同朋とみなすマイノリティに対して。僕? 完全にそれらの必殺技にやられましたよ。KOです、KO。