海でのはなし。

渋谷ユーロスペースのレイトで『海でのはなし。』(http://www.umidenohanashi.com/)観てきました。スピッツの曲をモチーフにつくられたてのがウリの映画だったのですが。うーん……。ちょっと評価的には厳しいすね。まぁ元々配信用で、かなり突貫で撮ったらしいので、仕様が無いといえば仕様が無いのかな、とは思いつつ、も。

CMプランナーの大宮エリーさんという方が監督らしいのだけど、やっぱ、CMで幾ら良い映像撮れても、それと映画って別物ねと痛感。15秒と71分じゃね全然違いまさね。特に、シナリオはもうちょっと何とかならなかったのかな。重い設定増やせばいいってもんじゃないよ、リアリティ感じないし、そもそもリアルを撮りたいんだろうに「ドラマみたいでしょ」なんて役者にいわせたら身もフタもねーじゃん、と思いつつ観ちゃいました。生かせない伏線なら、いっそ張らない方がよっぽどマシだし、あえて語らせず、言わない方が状況が生きる台詞というのもある。場面と場面の連結も全然できてなくて、ぶつきりな印象だったし。説明過多な部分と説明不足な部分のバランスがとれてないのがひたすら木になりました。

カンジンの曲との絡みも、かみ合ってない印象を受けた。曲と場面の繋がりも感じられない。特にクライマックスのあの曲の使い方は、画面に動きが殆ど何もなくて、何を魅せたいのかイマイチ分からず。まぁ15秒切り取れば悪くない画だと思うんだけど、あれで1曲丸々5分はちょっと頂けない。(この「15秒では見せられるシーンを反復して単調なものにしてしまう」という事象はフィルム全体に見られた。画とBGMのあわせとして素直に良かったのは、イントロの弦の入りのタイミングと、ラストシーンくらいか?)

……とは言いつつも、エヴァーグリーンなスピッツ曲のちからと、瞬間瞬間の画("映像"ではなく"画")の作り方と、コピー的なフレーズの組み方、なにより宮崎あおいはさすがだと思いましたね。宮崎あおいは、案外ぴんとこないフィルムでその魅力を再確認することあるんだけど、その典型。あの安定感はなんだろう。ちょっと喋らせすぎなシナリオのおかげで、却って存在が抜けたものとしてみえてました。まぁ、宮崎あおいフィーチャーフィルムなんだとしたら、この路線もアリ?てゆうかすみません、宮崎あおい好きなんです。『ユリイカ』と『害虫』は特に素晴らしかったね。えーと、ま、そんななんで大宮さん、是非、宮崎あおいスピッツの曲で今度CM撮ってください。そしたら良いモノできると思いますよ?餅は餅屋がつくに限ります。