nifty=infinity?

ニフティ株式会社が東証に上場、だそうで。

http://japan.cnet.com/news/biz/story/0,2000056020,20299848,00.htm

やーびっくりしました。今日はいちんちイライラで、向かいの上司とグチトークを展開してたんだけど、定時後に唐突に目の前のRSSリーダが、PC画面の片隅で「ニフティ東証上場」とかのたまうのです。なんのジョークかと。ハロウィーン気分抜けないのかと。2002年の記事混じってんのかと。思ったら、ほんとに06年12月7日東証上場とのことでした。あらプレスリリースもちゃんと出てる。最近、なんとなくニフを追ってたもんで、この偶然はちょっと驚きでした。ググってみたけど、リーク記事も一切ない様子だったし。若手向けにシフトした中途採用ページの充実ぷり(http://www.nifty.co.jp/saiyo/2006special/index.html)といい、新人事評価制度の導入(http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20060821/246005/)といい、経営的に何かやろうとしてる意図はびりびり感じてたんだけど、まさかこの不思議なタイミングで上場とは想像だにしてなかった。20周年記念上場なんでしょうかね。

上場していいんじゃないかというタイミングは今よりもむしろ過去にあった。01年には富士通の業績悪化もあってソニーによる買収の話が持ち上がり(http://journal.mycom.co.jp/news/2002/01/23/09.html)、金額が折り合わず頓挫したらしいけど、それを乗り越えた02年、一部メディアで上場検討の報道があった(http://journal.mycom.co.jp/news/2002/07/10/05.html)らしい。

02年といえば、丁度ヤフーBBが街頭という街頭に落下傘部隊を送り込んでシェア獲得に必死だった頃で、日本のISP事業がブロードバンド+常時接続定額+価格破壊というビジネスモデルの変化に見舞われた転機だったわけだけど、未だあの頃はニフの会員数のシェアは高かったはず。恐らく、かなり前向きに上場を検討していたけど、ヤフーBBの攻勢が予想以上で通信デフレに見舞われ、収入基盤が落ちて断念したんだろうか。ブロードバンドの勃興期で、インフラ整備が未だ未だなのに上場などできないという経営者判断もあったのかな(インフラに不安のあったヤフーには当時相当懐疑的だった様子→http://itpro.nikkeibp.co.jp/free/NNB/NEWS/20020708/1/)。今は、ISP事業自体は安定期に入っていて、これ以上の会員数の大きな増減はない、親会社の収益も安定してきて収益の基盤としては整ったとみた、てとこなんだろう。後、02年当時はニフが批判的に眺め、実際収益は真っ赤だったソフトバンクが、日本テレコム、旧Jフォンと買収し今や時代の寵児となってることや、圧倒的にネットワークコミュニティサービスプロバイダとしては後発のミクシィが上場したことなんかも刺激したんだろうなぁ。

上場による調達金額は65億円。富士通の持ち株比率は100%から60%後半まで落ち、経営面で富士通から独立促進することが予想される。他の資本が入る可能性だってある。社長の古河氏は、元々古河財閥の御曹司とあって、富士通から少し離れて1つの会社を引っ張ろうという気概みたいのは(よくも悪くも)確かに持ってそうだ。実際、社長ブログでおどけたり、マナベと同じステージで映像作品の講評を述べたり、MOOCSの立ち上げイベントで若手社員に促されアフロのズラをかぶったりする姿は、「F社の元役員」というイメージを払拭する何か、覚悟のようなものを感じさせる。まぁ、実際ISP事業以外のとこで稼がなきゃいけない。けど決め手のサービスがもてない、決め手と思われてたココログも安定しない時期が長く今ひとつ(おまけに開発者ははてなに引っこ抜かれる)、維持費がかさみ利用者数が減ったフォーラムを閉じ大ブーイングを受ける、という苦渋が重なったことで、なんとかこのWebにいてんなんちゃらな時代に復活したいという思いというか、意地があるんだろう。かなり今回の上場は、覚悟の上場なんだろう、と見える。

個人的には、富士通と構築したネットワークインフラとISP会員を基盤に持つニフティは、買収ターゲットにされやすい気がするし、カネだしてくれる買い手がつけば、富士通も切り離す可能性は大いにあるだろう。と思ってる。ただ、富士通もコンシューマ向けサービスの窓口として貴重だし、こだわりはきっとあるだろう。大体このまま下手な価格で売ってしまうと、インターネットバブルの崩壊や、ブロードバンド革命で発生した莫大であろう投資を回収できず、ISP価格破壊による損失をカバーできない。日商岩井から買い取った時の覚悟の投資を身に結ぶためにも、上場を起爆剤として復権と成長を図る心積もりだろう。このリスクを自覚しないことには、この何が起きても変じゃないこんな時代を乗り越えられないでしょうね。可能性と危機感。まぁ、勝負の局面にニフティが立っていることだけは、とりあえず間違いなさそうです。インターネットバブルのときのような、浮き足立った経営判断をしないよう、1ニフティファンとして注視していきたいところですね。