素晴らしき青の世界。

音速ライン 盗用 写真」とかのキーワードで流れてきてるひとがいて、何時かは触れよう触れようと思ってる昨今な訳ですが。まぁ、前の前の記事で取り上げたジャケットの写真が、ネット上に掲載されてた写真の無断利用だったときたのだから、これも何かの縁だろう。パクリウォッチサイトですしねうちぁ。やれやれ。

音速ラインの公式サイト(http://www.onso9line.com/)に反省のコメントは出ているのだけど、カンジンの騒動の発端となった、無断利用された写真の撮影者の兄の公表Blogが削除されてしまったので、これ読むだけでは何がなにやらて感じですよな。とりあえずまとまってるのは下のBlogでしょうか。

http://blog.livedoor.jp/reinsomniac/archives/50124326.html

権利者が文句言わなかったから直接騒動の発端にはならなかったものの、セカンドシングルである『街風』だけでなく、メジャーデビューシングル『スワロー』のジャケ写も拾い物らしい(許諾済みとオフィシャルサイトにはあるけど、事後承諾の可能性高いよなぁ。)。2枚続けてやっちゃって、当初は「自分達で撮影した」とレコード会社を通してコメントしていた*1辺り、「出来心」というよりかは、半ば確信犯でやってしまったとしか思えない。つまり、この写真を無断で使うことに、権利上やばいんでないの?という躊躇はほぼなく、ネット上の個人サイトのコンテンツに著作権なんてあってないようなものだろう、という確信の元、無断利用を繰返してた、てことだ。

何れの写真も、サークルCマーク等の印や、掲載サイトやBlogに著作物の扱いについての注意書きも特になく、また『街風』写真に関しては、掲載Blog上で携帯待受用に加工された他の猫写真を示し「ご自由にどうぞ」とややこしいコメントしていたので、2次利用自由なコンテンツだと錯覚しやすい状況にはあったことは否定できない。というか、現在の個人サイトに掲載されてる写真等なんて、殆どそういう状態で晒されているだろう。そういうグレーな状況下において、それがまずいことになる可能性がある行為だ、という感覚が麻痺し、2次利用したくなる気持ちは分からなくもない。

音速ラインの行為を糾弾することばを述べる前に先ず注意すべきは、ネット上に無数に溢れる著作物群のこのグレーな状況をいかに捉えるか、だろうと思う。法律的に言えば、当然権利は著作者に属するし、無断利用しないで下さい、謝ってください、と言われればひれ伏すしかない。利用のための正しいプロセスを踏まなかった2次利用者や関係者が悪い。それは全くその通りなのだけども、じゃぁWebに写真を掲載した際、その著作者は、その写真が多くのひとの目に晒され、利用され、加工される可能性があるということを意識して掲載しているのだろうか?はっきり言って、そんなこと逐一意識して写真あげてる個人サイト持ちなんて少数派も少数派だろう。だから、自分の(身内の)著作物が無断利用されてるケースに遭った場合に、いささか過敏に反応するひとも出ることになる。それは意識されていない、想定外の事故だからだ。想定外の事故に対し動揺し、責めたくなる気持ちも分からなくもない。

けど、糾弾する側も、こういってはなんだけど、感覚が麻痺していたのだろうと客観的にみて思う。レコード会社の非道い対応と(確かに削除された糾弾サイトを見る限り、掛け値なしに非道い対応だった。クレーム対応の初歩がなってない。)音速ラインの無断利用を責めるそのサイトには、堂々と、某歌手のグラビア風の写真が幾枚も掲載されていた。商業目的利用とそうでない場合とで違いはあるかもしれないけど、本質的に他人様の撮影したコンテンツを無断で利用したという行為において、音速ラインのやったことと、『街風』写真撮影者の兄がやっていたことというのは何の違いもない、ということになる。恐らくこの糾弾Blogは各方面からその辺り責められ炎上し、削除に追い込まれたと思うのだけど、なんとも皮肉な顛末である。

と言う訳で、この問題の根本的なところは、盗作がどうしたとかそういうのとはまた別のところにあるような気がする。だから従来の「パクリ糾弾」の土壌で語ろうとするとどうにも議論がかみ合わず、どうにもこうにも煮え切らない印象を与えられてしまう。音速ラインのBBSもまた炎上し閉鎖、2chでもお約束のように「【パクリ】音速ライン【発覚】」的なスレが乱立しているけど、そこで糾弾してる彼ら自身だって、結局はグレーなWebの世界をグレーに渡り歩いていたりするのだ。グレーな土壌の上で白黒つけようとするから、論理や議論の一貫性が破綻するのは目に見えている。少なくともこの出来事は、何か固有名詞ひとつを悪者にして片付く問題じゃない。有り得た現象だし、これからも有り得る現象だ。それを、Webで情報を発信しているひとは、もうちょっと意識しても良い気がする。白だって黒に変わる、それが、皆が生きている世界だ、てことだ。たぶん。


*1:らしいのだけど、レコード会社とのやりとりを公表してた写真撮影者の兄のBlogが削除されてしまって確認できない。ログとっとけばよかった。