ニセモノだって美しいと思っているわけですよ。

『音楽誌が書かないJポップ批評37/サンボマスターと青春ロック地獄変』購入。その後、『サンボマスターは君に語りかける』-サンボマスター、購入。順番後先逆で、しかも今更な購入でありますが。

試聴機で聴きもしたし、騒がれてるのもなんとなく知ってたけど、どうも食指が伸びなかったのは、僕が、何処か「ポップミュージックは美しきニセモノだ。」と信じてるからだろう。ある意味まさしく「90年代ノットデッド」な精神だけど、やっぱり渋谷系的な「ホンモノなんてありはしないのさ」という価値観には抗い難い。実際、Jポップ批評にも渋谷系との比較で「本物て何?」と語ってる評もあったが、まぁそれとは近いような遠いような感触を彼らの音楽に持つのである。いや、確かに質の高い仕事してるし、何かヒッシで切実なのは伝わるんだけど、何をそんなにヒッシなのかが、僕には(残念ながら)伝わってこない(気がする)。あるひとは文学的とも呼ぶ彼らのリリックの魅力も確かにあるのだけども、それを歌うということへのリアリティが、少なくともCDというメディアからは未だ感じ取れない。ライヴいって目の当たりにすればこのあたり変わるんかもしれないけど。んー質の高いポップミュージックのひとつ、としかとれない。やっぱビジュアルから入らないと届かないのか彼らのメッセージというのは?

『White And Blue』-堂島孝平

割と質の高いニセモノとしてのポップミュージックを確信犯的に演奏ってる(ように最近は聴こえる)堂島孝平の新譜。そろそろマンネリが入ってきてしまったろうか。殆どピンと来ず。彼独特のフラジリティが感じられなくなってきたのがその理由かもしれない。或いは、このテの音楽を続けるには年齢をとりすぎたのかもしれないな。

『初花凛々』-Singer Songer

これはホンモノを通り越した美しきニセモノ。て感じか。て書くと誤解招くか。まぁとにかく良質でかつただ良質なだけでないポップミュージック、ひたすら愛聴中。くるり、歌モノ、ときて『Birthday』辺りにはイノトモの声以外にほぼ全く反応するモノがなかったのだけど、この曲はともかく良い。やはり良いメロに深く考えずアレンジをつけていけば、くるりが悪い仕事をする訳がないのだ。

『ワルツ』-スネオヘアー

ビジュアルは平凡。ひたすらセンチメンタル。だけど30代。メロディはあくまで美しいし、高山徹によりミキシングされた音のひとつひとつは抗いがたい繊細さに満ち溢れてる。人生はワルツだ、と言い切って歌いきってしまう辺り、実に美しきニセモノである。そのまま何も作らずにここまで確信犯的なニセモノのアオハルな世界「ハチクロ」にはまってしまうというのもある意味奇跡的なタイアップと思える。


ニセモノってニセモノだから、ニセモノだって分かってるから、だけどそれが本当のことを隠したニセモノだと透けてみえるから、僕はきっと、そんなこんなな音楽に反応するんだと思う。ごめんサンボマスター、ごめん山口隆。僕は君達の熱さを受け止めるには、いささか最近醒めすぎているのだよ。ホントのことが知りたければ、嘘っぱちの中旅に出ろ。てか。ハロー、ハロー、ハロー。

[追記]

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サンボ『拝啓、ジョンレノン』の選曲ははまりすぎ。聴いてみようかな。スネオのルールスライダーも気になる。