着陸を案ずるより離陸に今を駆けろ。

『ニューエイジドリーム』-AUDIO RULEZ。購入。石田小吉プロデュース曲でのデビューシングル。CCCDなんで買うの躊躇ってたんだけど、某所で「石田プロデュースの醍醐味が詰まったグッジョブ(意訳)」的な評価を見かけてうっかり購入。アレンジだけかと思ってたら標題曲の作詞までしてる。まぁこれがイシダロマンチシズムに溢れかえった青さに満ちた歌詞。堪らない。買って正解。

音を聴くとますます正解具合に気付く。分厚いギターを軸としたミドルテンポの8ビートロックチューンなのだけども、随所に美味しいパーツが埋め込まれてる。例えばリバーブをかけた湿り気のあるギターからリズム隊の4つ打ちに切り替わり、そこから一瞬の中断を経て雪崩来る怒涛のギター、イントロの緊張感を纏めるイシダが得意とする16刻みのデジタルパーカション、という要素が組みあわさったイントロの一連の流れ。これだけでもぅイシダアレンジフェティ的には恍惚な気分。はっちゃけたギター、几帳面な打ち込み、タイトなリズム隊、厚みあるコーラスアレンジ、全てにおいて全体通じて1本スジの通った仕事が為されてる。素晴らしい。

更にうなるのが作詞。イシダが詩を他の誰かに提供するのて珍しいケースだけど、これ素晴らしい仕事。細かく動くんで、決して日本語を載せるのが簡単なメロではないのだけどサラリとキレイなことばを乗っけてしまってる。特に2番Aメロ。「マダガスカルから漂流れ着いた……」の下り。ことばの流れ方が、ちょっとイイ。つか凄くイイ。

そんなこんな、メロディは悪くないけど悪く言うなら凡庸、声は透明感あってキレイだけど悪く言うとそれだけ、という感は否めないのだけど、フックの利いたアレンジで見事に耳に音を留めることに成功してる。その点で、プロデューサとしてのイシダの実力を十二分に見事に現した盤なのではないか。個人的にはスピッツ『隼』以来のイシダ好プロデュース盤。ひとつ好プロデュースを迎えたことで、AUDIO RULEZというバンドも面白い存在になってくのではないだろうか。タワレコに何枚と背中を向けておいてあった盤が、少しずつハケていくことを祈りつつ。イシダファン全般には特に、広く薦めておきます。