だいすきだいすきだいすきだいす

僕らは全てを失い、そして<大好き>という祈り1つで<始まり>を創り出す。

つ訳でなんのかんのと何を今更という感じで日曜に渋谷で拾ったchappieのCDがマイブーム。『New chappie』-chappie。

確か大学3年の時に聞かされて知って(同じ日にフリッパーズのPVも見た。おー渋谷系な日々。)以来、ずっと気になってたのをレコファンで発見して捕獲した。という塩梅。キャラクターであるchappieのアルバム、という名目で複数の匿名女性ヴォーカル(+Folderの中性ヴォーカル)と豪華作家陣が結束して作り上げた企画オムニバス盤みたいなもの。99年リリース。

まぁこれがかなり良いのよ。特にあまりに秀逸なpal@popによる1曲目による幕開け、日本語とチープでクールな打ち込みのグルーヴ感がなんとも言えないし、川本真琴の「だいすきだいすき……」てウィスパーのループそれ自体の持つインパクトがそのまま曲とアレンジとチープでクールなリズムと結合し耳を離そうとしない、でその曲以降、シティポップ、狂ったビートルズ・フレイバー+正統派なビートルズ・フレイバー、草野の黄金率と松本隆の詞世界の共演、ピッチの狂ったコーラスと問答無用なリズムによる享楽的な純正小西ナンバー、安いヴォーカルによる川本真琴提供曲、まるきし森高な声で奏でられる鈴木茂やら林立夫やらと編曲した細野晴臣の曲+松本隆の詞、福富幸宏による多面的なインスト。と延々続き、なんて書いてるだけでも無茶苦茶な盤だなぁと思う訳だけども。

全参加音楽屋が好き勝手にやりながら不思議と「chappie」という記号キャラを軸に収斂する不思議。いや、収斂なんかしてなくてもこうも立て続けに企画盤としちゃ間違ってるだろう、てくらいにハイテンでハイクオリティな曲が続けばそれはもう聴き手としちゃひれ伏すしかないだろう。ポップであるとはこういうことなんである。無秩序な享楽、無根拠な予感、無意識な繊細、無垢な情動。速さと甘さとリズムとことば。そゆものが一直線に貫かれてる時点で、この盤はポップスアルバムとして統一感を持つことに成功している。と言っちゃう。

にしても川本真琴の「だいすき……」は反則過ぎる。子音の立て方の絶妙さからリズムとの融合具合に至るまで。広末なんか比にならんよ。これをpal@popがモノにしちゃった時点で、8割方出来上がったんだろうな、この盤のコンセプト。いや、素晴らしい。少年はことばというみすぼらしい翼を、ポップと名づけられた音楽という蝋で固め、飛び上がったんだよ。例え、それが無理だと理解ってたとしても。