オモヒデ!

七尾旅人という音楽屋の私的評価については判断決めかねてる部分は多いのだけど(そして潜在能力は間違いなく認めるのだけど)『オモヒデオーヴァードライヴ』というデビューマキシが名盤だてことははっきり言い切れる。プロデュースを担当した伊藤銀次のもたらしたバランス感覚の結果だろうか。4曲全編弾き語りながら、その表情の雄弁さと、分裂症的美しさには何度聴いても圧倒される。「喪失感/キボウ」「優しさ/裏切り」というポップスのもたらす2軸が絶妙に絡み合う。媒介は勿論その純朴なるメロと六弦と、掠れ声の美しさ。沼津の真夏に、しぬほど聴いたさ。「八月」。と、余談ついでに唐突な感覚的独断的レビュでした。