アオハルブルース。

『青春ブルース』-斉藤和義(どうしたビクター?て感じな通常アルバムCD+DVD)と、『ヒコウ』-スネオヘアー(ふざけるなSレコ、という感じの以下略。けど買ってしまって気分的には敗北。シングル。)前者は最高傑作、という帯コピーには首傾げるも、悪くない佳作。

そんなで後者。春っぽい、と本人が言ってるらしい王道ギターポップチューン、といった印象。スネオが別れを描いてる割になんだか妙に吹っ切れてる。と思うにはまだ早いぜ。何せスネオヘアだ、単に素直な吹っ切れソング描く訳ないじゃん。と言う訳で、実際聴くと色々とひっかかる箇所が多いんである。そしてそれが曲全体のイメージをしっかり形造ってる。なかなかな職人技。

展開は、サビ→Aメロ→サビ→Aメロ→サビ→フィナーレという展開。サビスタート、て王道だけども、実はスネオにおいては珍しい気はする。印象的なサビを叩きつけてるのだけどもどうも違和感がある。

コードはG→Em→C→Dという実にシンプルな展開、ところがこのサビ、最初の「グッバイ」がレ→ファ#なんである。違和感の正体はまずはこいつだ。いきなりの情熱的なサビで4度、ではなく半音落として3度の跳躍、主音のソには帰らず半音下で留まりM7thの和音を強調してる。あと半音飛べって!歌いづらいし、なんかひっかかんじゃん!みたいな音の跳躍のこの曖昧さ、中途半端さ。「グッバイ」てフレーズなんてリズムが歯切れ良いだけになおさら気になる。

そしてサビの終わりC→DときてさぁGに帰ればいちにのごで今までのうやむやもすっきりさ、と思ったらいちにさん、てEmで止めてやがる。並行調かよ!つかもろにメジャーなスタートでマイナー終止かよ!と小一時間突っ込みながら繰り返し聴いてしまう。まぁここで焦らしといて最後にはGに帰るだろうそのほうがカタルシス大きいものね、て期待をこめて何度も聴くんだけど、何度聴いてもこの音楽データは強情にもEmで全て終止してる。

まぁいい、スネオの生き様はサビにのみあるのではない。シングル曲の多くにつくサビの後のフィナーレ、これが肝心。『アイボリー』の「増長する欲望と〜」の下りや『セイコウトウテイ』の「一度は消えてた君の横顔が〜」の下りにはいつも泣かされそうだものな、と思ったら……ファルセット……。歌詞カード見たらもう泣きの歌詞には違いないんだけども、今までの曲の開き直らんばかりの力に満ちた歌唱とは外れた印象がある。

ところが、この要素それぞれ絡み合うと、も1回、も1回聴きたい、となるから不思議だ。よく考えると絶望の中にキボウを見出しながらでも結局は煮え切らない、というスネオの特徴がキボウ溢れる歌詞とカタルシスがあるよでない曲構成の幾つかの要素が絶妙に融合してなんとも言えない魅惑を醸しているんであります。

で、後奏まで聴き終わると、Em→D→G、ときちんとGに帰っていたりして。そうなると、やっぱり彼の強がりも、救いがあるように聞こえるから、春の歌て不思議ね。